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消防設備士甲種特類の需要と特殊消防用設備の概要を全類持ちが解説

消防設備士

※この画像は特殊消防用設備ではありません。特殊車両レッドサラマンダーです。

米造
米造

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この記事では、消防設備士 甲種特類資格の就職・転職市場での需要と甲種特類の資格で扱える特殊消防用設備について、甲種特類を含む消防設備士全類を取得していて設備管理業界で働いていた著者が解説します。

消防設備士 甲種特類を含む全類取得済みの免状
消防設備士 全類取得済みの免状

消防設備士の資格取得を目指す方には以下の記事も参考になるかもしれません。

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消防設備士甲種特類の需要と特殊消防用設備の概要

消防設備は身の回りのあらゆる建築物に設置されており、それらの設備の施工・管理を行う消防設備士は需要が高い資格です。

消防設備士は全部で8種別に分かれており、それぞれの種別で取り扱う設備は以下の通りです。

  • 甲種特類  – 特殊消防用設備等
  • 第1類 – 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備
  • 第2類 – 泡消火設備
  • 第3類 – 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備
  • 第4類 – 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備
  • 第5類 – 金属製避難はしご、救助袋、緩降機
  • 第6類 – 消火器
  • 第7類 – 漏電火災警報器

第1類の消火栓設備や第4類の火災報知設備などは身の回りに設置されているのでどういうものかイメージができる方も多いと思いますが、甲種特類の「特殊消防用設備」は全くイメージがわきませんよね。

消防設備士の資格は需要が高いと書きましたが、甲種特類は特殊な種別で、他の1類~7類までの種別とは事情が異なります。

結論から言ってしまうと、甲種特類は他の7種別と比べると圧倒的に需要が低いです。

そのあたりの事情を解説していきます。

特殊消防用設備とは何か?

特殊消防用設備とは、消防試験研究センターによると「従来の消防用設備等に代わり、総務大臣が当該消防用設備等と同等以上の性能があると認定した設備等」とされています。

通常の消防用設備よりコスト面・機能面で高い効果を発揮することが期待される設備ということですね。

近年増加している高層建築物や特殊な形状をした建築物、巨大な空洞がある建築物などに設置されます。

例を挙げると、以下のような設備が特殊消防用設備に該当します。

火災温度上昇速度を監視する機能を付加した防災システム

従来の自動火災報知設備に、火災温度上昇速度を監視する機能を付加し、火災の拡大をより迅速かつ確実に把握することができるシステムです。

閉鎖型ヘッドを用いた駐車場用消火設備

駐車場における火災に対し、近傍の閉鎖型ヘッドが自動的に作動し、当該ヘッドから放射された水系消火剤により効果的に消火する設備です。

インバーター制御ポンプを使用するスプリンクラー設備

従来のポンプ方式に付置したインバーターにより、警戒区域ごとに電動機の回転数を制御することで加圧送水装置の吐出圧力を調整し、建物内すべてのスプリンクラーヘッドにおいて、適正な圧力で放水することができる消火設備です。

空調設備と配管を兼用するスプリンクラー設備

スプリンクラー設備に必要とされる防火安全性能を確保しつつ、スプリンクラー設備と輻射パネル式空調設備の配管を一部兼用することで、省資源・省コスト等を実現した消火設備です。

閉鎖型水噴霧ヘッドを使用した消火設備

新たに開発した「閉鎖型水噴霧ヘッド」を使用し、通常の水噴霧消火設備より高い放水圧と効果的な散水パターンを得られるよう工夫されたデフレクターにより、高い消火・延焼抑制効果を発揮することができる消火設備です。

甲種得類の取得者数は非常に少ない

総務省消防庁が発表している「消防白書」によると、消防設備士甲種特類の取得者数は平成29年3月31日現在で累計 3,212 人です。

 

甲種4類の取得者数 282,817 人と比較すると、甲種特類の取得者数は非常に少ないことが分かります。

取得者数が少ないのなら就職・転職市場で引っ張りだこなんじゃないのか!?と考える方も居るかもしれませんが、実際のところ業界内での需要は「ほぼゼロ」と言ってよいほど低いです。

特殊消防用設備を設置している防火対象物はごくわずか

特殊消防用設備を設置している防火対象物は、平成29年3月31日現在で全国にたったの 64 件です。

 

それに対して、前述した通り甲種特類の取得者数は 3,212 人もいますので、いかにも供給過多ですよね。

需要の低さの理由は、設備の設置数に対して資格の取得者数が多いことだけではありません。

甲種特類は勉強したことが役に立ちにくい

消防設備士1類~7類で扱う設備は、メーカーによる仕様の違いはあれども、基本的な動作原理や構造は似たようなもので、それぞれ法令で定められた設置基準に従って設置されるため、資格取得のための勉強を通して得た知識が現場でそのまま役立ちます。

一方、甲種特類で扱う特殊消防用設備は、一般的な消防設備にはない構造や機能を有している上に、設置については現場ごとに検査・認定されるため設置基準が存在せず、資格取得のために勉強したことが現場で役に立ちません。

したがって、甲種特類という資格は持っているだけでは全く意味が無く、甲種特類を持っているからといって、就職や転職市場で「おっ、こいつは甲種特類を持っているからうちで管理している特殊な防火対象物の維持管理を任せられるな!」なんて評価を受けることは無いでしょう。

それでも取得したくなる甲種特類

ネガティブなことばかり書きましたが、消防設備業界における甲種特類の需要の現状がお分かりいただけたかと思います。

しかし、しかしですよ!

甲種特類以外の消防設備士1類~7類を取得したからには、残る甲種特類も取得したくなるのが人情というものでしょう!

ちなみに、甲種特類は1類~7類を全て揃えなくても受験することができます。

しかしながら、本記事で解説した通り需要は限りなく低いので、よほどの事情でも無い限り、甲種特類の取得を目指す前にまずは1類~7類を全て揃えることを優先すべきです。

それに、甲種特類の試験では1類~7類全てに関する知識が問われますので、結局全類の勉強をしなくてはいけないのです。

甲種特類の試験内容の詳細や、私が甲種特類に独学で合格した際に実践した勉強方法や使用した参考書は「消防設備士甲種特類に独学で一発合格できるお勧め参考書と勉強方法」で紹介していますので、受験予定のある方はよろしければご覧ください。

甲種得類持ちの仲間が増えることを祈っています。