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今回は、ビルメンの業務にも非常に関わりの深い資格、消防設備士の甲種 1 類、甲種 2 類、甲種 3 類について、資格の概要、難易度や合格率、さらに僕が受験して合格した際の勉強方法や参考書などを紹介します!
甲種 1 類 ~ 3 類は、受験資格、受験科目、科目免除などの要件が全て同じですので、このページでまとめて紹介します!

甲種 1 類 ~ 3 類だけではなく全類の取得を目指す方には以下の記事も参考になるかもしれません!
消防設備士 甲種1類、甲種2類、甲種3類の受験記
とりあえず簡単に甲種 1 類 ~ 3 類の受験記を書いておきます。
受験したのはもう 5 年以上前の話なのでうろ覚えですが…。

この写真は、同じ日に 2 通の合格通知が届いたので記念に撮ったものがたまたま残っていました。
甲種 1 類の試験日は上の写真の通り 1 月 14 日で、勉強を開始したのが年明けの正月休み終わりごろからだったと記憶しています。
ただし、甲種 1 類の試験の約 10 日後に第一級陸上無線技術士の試験が控えていましたので、むしろそちらの勉強がメインだったような記憶があります。
消防設備士と陸上無線技術士の勉強の割合は忘れましたが、平日は仕事から帰って寝るまで(3 時間程度)、休日は休憩をはさみながら 1 日中(10 時間以上)どちらかの資格の勉強していたおかげで、上の写真の通り両方とも合格することができました。
残る甲種 2 類 と 甲種 3 類は、半年後の 8 月に実施された試験の際に受験しました。
甲種 3 類は当時住んでいた県で受験して合格、その 1 週間後に隣県で受験した甲種 2 類は、同じ日に甲種特類と併願して受験し、甲種2類と甲種特類の両方に合格しました。
甲種特類に合格するための勉強方法や参考書は以下のページで紹介しています!
消防設備士 甲種1類、甲種2類、甲種3類の試験概要
まずは甲種 1 類 ~ 3 類の受験資格、科目免除などの試験概要を紹介します。
消防試験研究センターの試験案内から甲種 1 類 ~ 3 類の部分だけを分かりやすくまとめたものですが、概要はいいから試験対策について知りたいという方は読み飛ばしてください!
甲種 1 類で取り扱える設備
屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備、共同住宅用スプリンクラー設備

消火栓やスプリンクラーのような聞いたことがある設備ばかりでとっつきやすそう!
甲種 2 類で取り扱える設備
泡消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備、特定駐車場用泡消火設備

泡…?パッケージ?駐車場…?聞いたこと無い設備ばかりだなぁ
甲種 3 類で取り扱える設備
不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備

不活性ガス?ハロゲン?なんか怖そう。パッケージ型って甲種 1 類と甲種 2 類でも出てきたけど何か違いがあるの?
パッケージ型消火設備とは?
甲種 1 類 ~ 3 類共通で扱える「パッケージ型消火設備」は、類による違いは無く全て同じものです。
パッケージ型消火設備とは、屋内消火栓やスプリンクラーを設置しなくてはならない建築物が条件を満たす場合に代替設置できるものです。
大規模な工事が必要で設置コストが高い消火栓設備やスプリンクラーに対して、パッケージ型消火設備はコストを抑えて設置することができるため、小規模施設に設置されることが多いです。
また、増築などで延べ面積が増えたことで、既設の消火栓設備やスプリンクラー設備だけでは未警戒区域ができてしまう場合に、その区域を補うコストを抑えるためにパッケージ型消火設備を設置することがあります。
消火栓設備やスプリンクラー設備のような専門的な設備は甲種 1 類でなければ扱えませんが、パッケージ型消火設備のような簡易設備であれば、同じ水系を専門とする甲種 2 類、甲種 3 類なら扱って良いということなのでしょう。
甲種1類、甲種2類、甲種3類の受験資格
甲種 1 類 ~ 3 類は誰でも受験できるわけではなく、規定の受験資格を満たす必要があります。
受験資格は学歴、実務経験、所有資格などに関する事項が複数規定されており、どれか 1 つに該当すれば受験することができます。
受験者のほとんどが所有資格によって受験資格を満たしていると思われますので、ここでは受験資格に該当する所有資格を紹介します。
学歴、実務経験等による受験資格は消防試験研究センターの試験案内で確認してください。
- 他の甲種消防設備士免状
- 電気工事士
- 電気主任技術者
- 無線従事者資格 (陸上特殊無線技士など)
- 建築士
- 配管技能士
- ガス主任技術者
- 給水技術者

まだどの資格も持っていないという人には、第二種電気工事士や陸上特殊無線技士の資格が簡単に取れるのでオススメです!
甲種1類、甲種2類、甲種3類の試験科目
【筆記】試験時間:2 時間 15 分
- 法令 (共通 8 問、類別 7 問)
- 基礎的知識 (機械 6 問、電気 4 問)
- 構造・機能及び工事・整備 (機械 10 問、電気 6 問、規格 4 問)
【実技】試験時間:1 時間 00 分
- 鑑別等 5 問
- 製図 2 問
【備考】
- 筆記試験と実技試験は同時間内に行います。
- 試験科目の一部免除を受ける方の試験時間は、短縮されます。
- 実技の科目は、電気工事士のように工具・器具を用いるものとは異なり、問題を読んで解答する筆記形式 (ペーパー試験)で行われます。
甲種1類、甲種2類、甲種3類の一部科目免除
甲種 1 類 ~ 3 類の科目免除が受けられる資格と、免除される内容は以下の通りです。
※技術士による免除は記載していません。
他の消防設備士 甲種 1 類 ~ 3 類 のいずれかを取得している場合
- 「法令」の共通部分 (8 問)が免除
- 「基礎的知識」の10 問が全て免除

甲種 1 類、甲種 2 類、甲種 3 類は全て「ポンプなどを使用する水系」に分類されるので、どれか 1 つを持っていれば「基礎的知識」も免除されるのです!
消防設備士 甲種 4 類または甲種 5 類 の免状を受けている場合
- 「法令」の共通部分(8 問)が免除
電気工事士免状 または 電気主任技術者免状 を取得している場合
- 「基礎的知識」の「電気」に関する部分 (4 問)が免除
- 「構造・機能及び整備」の「電気」に関する部分 (6 問)が免除
甲種1類、甲種2類、甲種3類の合格基準
- 筆記試験 … 3 科目それぞれの正答率 40 % 以上で、かつ、全体の出題数(解かなければいけない問題数)の正答率 60 % 以上
- 実技試験 … 全体の正答率 60 % 以上
消防設備士 甲種1類、甲種2類、甲種3類の受験者数と合格率、難易度

甲種 1 類の最近 5 年間の合格率は 25 % 前後で安定しており、合格率だけ見た場合の難易度は「ふつう」レベルです。
甲種 2 類の最近 5 年間の合格率はほぼ 30 % を超えており、難易度は「易しい」レベルです。
甲種 3 類の最近 5 年間の合格率は 30 % 前後で安定、難易度は「易しい」レベルです。
甲種 1 類 ~ 3 類の筆記試験に出題される計算問題は中学~高校 1 年レベルですので、ちょっとした復習程度で OK です。
また、必要な暗記量もさほど多くないため、一夜漬けは無理にしても、集中して勉強すれば短期間で合格レベルに達することができます。
必要な勉強時間の目安などは、本ページ下部の「甲種 1 類、甲種 2 類、甲種 3 類 受験記」の項に記載しています。
また、消防設備士の試験には合格点に関して受験者にとって非常に有利な措置があります。
一般的な国家資格の試験では、合格となる正答率が 60 % と設定されている場合、1 科目でも正答率 60 % 未満の科目があれば不合格となります。
ところが消防設備士の筆記試験は、3 科目全体の正答率が 60 % を超えていて、かつ正答率 40 % 未満の科目がなければ合格となります。
つまり、3 科目あるうち 1 科目が 40 % しか正答できていなくても、残りの 2 科目が 70 % 以上正答できていれば平均が60%を超えますので合格となります。
同様に、3 科目中 2 科目が 40% しか正答していなくても、残り 1 科目が 80% 以上正答できていれば平均の正答率が 60% ですので合格となります。
言うなれば「合格させるための措置」です。
ここまで受験者にとって有利な措置があることを考えると、筆記試験で落ちる人はあまりおらず、多くの人は実技試験 (鑑別・製図) で落ちているのではないかと思われます。
消防設備士 甲種1類、甲種2類、甲種3類に合格できる勉強方法
筆記試験の計算問題は前述した通り中学~高校 1 年レベルで、出題のバリエーションも多くないので、何冊かの参考書に出題される内容をしっかり解けるようにしておけば正答できるでしょう。
基本的に法令や設置基準など暗記メインの勉強となりますが、あまり覚えることは多くないため、法令で 80 % 以上の高得点を狙い、他の科目は 60 % 以上の正答率を目指せば、筆記試験は短期間で合格レベルに達することができます。
ちなみに、難易度の項で書いたとおり消防設備士の筆記試験には受験者にとって有利な措置がありますので、法令で 80 %取れていた場合、他の 2 科目がそれぞれ 40 %しか取れていなくても筆記試験には合格できます。筆記試験は楽勝ですね!
科目免除は使わないほうが良い!
電気工事士などの資格による「電気」科目の免除は使わないほうが良い場合があります!
消防設備士の科目免除については、「消防設備士全類を約1年で取得!受験する順番は?科目免除しないほうが有利って本当?」の記事に詳しく書いていますのでご覧ください!
実技試験もベースは筆記試験の知識
「実技試験」というと身構えてしまう方が多いかもしれませんが、基本的には筆記試験で学んだ知識をベースに問題を解く形になりますので、筆記試験を高得点でパスできるレベルまで知識を詰め込んでおくことが、実技試験の合格への近道です。
鑑別の中には写真を見て名称を答えるような問題も出題され、そういう問題はさすがに知らなければ解けませんが、全体を見ると筆記試験の知識が十分にあれば解ける問題が多いです。
製図も練習をする前はなんとなく難しいイメージがあるかもしれませんが、しっかり練習を積めばむしろ得点源となりますので、参考書を何冊か用意して複数のパターンのしっかりマスターしておきましょう。
この他の勉強方法は?
消防設備士 甲種 1 類 ~ 3 類のように暗記がメインの資格試験では、綺麗にノートをまとめたり、覚えたい内容をだらだらとノートに書くことは効率の悪い勉強方法です。
- 綺麗にノートをまとめるのは時間の無駄!
- 音読こそ最強の暗記方法!
具体的には以下の記事にまとめていますのでご覧ください!
お勧めの勉強集中グッズ!
最大限集中して勉強するには、良い環境の構築が不可欠です!
もし周りの騒音が気になるようでしたら、キングジムのデジタル耳栓「MM2000」がその悩みを解決してくれるかもしれません!
僕はデジタル耳栓「MM2000」を使用し始めてから、自宅ではかなり集中して勉強や読書ができるようになりました!
「勉強に集中!安眠にも!キングジムのデジタル耳栓MM2000の効果レビュー!」では、キングジムのデジタル耳栓「MM2000」がノイズキャンセリングイヤホンと比べて優れている点や、実際に使ってみて軽減できる音・出来ない音などの使用感をレビューしていますのでよろしければご覧ください!
甲種1類、甲種2類、甲種3類に合格するためのオススメ参考書!
甲種 1 類 ~ 3 類に合格するためのオススメの参考書を紹介します!
消防設備士の参考書は、消防法が頻繁に改正される関係で、よく新板が出版されます。
そのため、ここでは僕が使用したものと全く同じではなく、同じ参考書の新板や同じ出版社の他のシリーズなどを紹介している場合があります。
甲種 1 類 ~ 3 類 全てに役立つ参考書
■〈6訂版〉消防設備アタック講座〈上・下巻〉
上下巻からなる大ボリュームで、図入りでかなり詳しく解説されており、消防設備士の資格をこれから全部揃えようという方は絶対に準備することをオススメします!
もちろん僕が消防設備士 甲種特類を含む全類を取得した際にも非常に役立ってくれました!
甲種ほぼ全類において、この書籍で勉強した内容が実技試験に出題されて助かった!という経験をしているだけに、僕のビルメン仲間で消防設備士を受験する人には必ず勧める書籍です!
消防設備士受験のための参考書ではないため、いわゆる問題集のような1問1答+解説形式にはなっていないのですが、教科書として非常に優秀です!
記事執筆時点ではAmazonでは品切れとなっていますが、Yahoo!ショッピングでは在庫があるようですのでお早めに!
2019/02/03追記:現在Amazonで在庫復活中ですが、既に在庫が数点となっています。入荷予定はあるようですが、頻繁に品切れになりますので、購入はお早めに!
甲種 1 類 に合格するための参考書
この「超速マスター」シリーズは、甲種 1 類だけでなく他類でも出版されているのですが、軒並み非常に評価が高く、「この 1 冊で合格できた」というレビューの多い優秀な参考書です!
テキスト & 問題集一体型なので、この 1 冊でインプットとアウトプットが可能です。各節ごとに問題も掲載しているので、合格に必要な実力が身につきます!
2017 年に出版されたばかりの参考書です。前述した通り、消防法は頻繁に改正されるため、できるだけ新しい参考書を使わなければなりません。
また、この問題集は最新の出題傾向を研究して書かれているため、まさに消防設備士の攻略本と言えるでしょう!
他の参考書の Amazon レビューに、この「本試験によく出る!第 1 類消防設備士問題集」に関する気になる記述がありましたので紹介しておきます。
本書と、さきほど紹介した「消防設備士 1 類 超速マスター (消防設備士研究会)」との併用で合格したとのことです。要チェックですね!
甲種 2 類 に合格するための参考書
消防設備士 甲種 2 類は受験者が少ないこともあり、新しい参考書がなかなか出版されません。
僕が受験した 5 年前に使用した参考書がいまだ現役という状態ですので、とにかく定番の参考書を数冊準備して数多くの問題に取り組みましょう。僕は 3 冊の参考書を準備しました。
参考書 1,2 冊ではおそらく実技試験が運任せという状態になりますので、必ず 3 冊やり込みましょう。
僕が合格したときに使用した参考書です。
筆記試験はこの 1 冊だけでも合格できるかもしれませんが、実技試験の内容が圧倒的に足りません。
まずはこの 1 冊を何周かやり込み、早めに 2 冊目の参考書に取りかかりましょう。
僕が合格したときに 2 冊目として使用した「筆記×実技の突破研究」シリーズの改訂版です。
筆記試験の問題の解説が「法令~条による」といった記載しかなく不親切なので 1 冊目の参考書としては不向きですが、2 冊目の問題集としては使えるでしょう。
なにより、実技試験の問題を数多く解くためには避けて通れない参考書です。
この「ラクラクわかる!」シリーズは最近出版された参考書で、甲種 2 類以外でも出版されており評価も上々です。
この参考書を最初の 1 冊として、他の 2 冊で実技試験の経験値を稼ぐという流れも良いでしょう!
甲種 3 類 に合格するための参考書
甲種 3 類も甲種 2 類と同様に参考書の選択肢が少ない状況です。
参考書 1,2 冊ではおそらく実技試験が運任せという状態になりますので、必ず 3 冊やり込みましょう。
甲種 2 類のお勧め参考書の項でも紹介した「ラクラクわかる!集中ゼミ」シリーズの甲種 3 類版です。
消防設備士の参考書は評価のイマイチなものが多い中、Amazon で 15 以上のレビューがありながら星 3 つ未満のものが 1 つもないという高評価の参考書です。
この 1 冊で合格したというレビューも見られますが鵜呑みにせず、この 1 冊を終えたら 2 冊目にとりかかりましょう。
2016年10月9日 これで勉強して合格間違いなし
Amazon レビュー より
2 ヶ月前に開始すれば、間に合いました。おかげで 1 発合格できましたありがとう。
2017年9月28日 無事合格
先日、合格しました。
この1冊を5~6回繰り返せば、満点は無理ですが、合格は出来ます。
筆記:82 %、実技:87 %でした。
ただ、法令の記述が薄いので、星 4 つとしてます。
2 冊目として使用する参考書は、次に紹介する本書籍の姉妹本がお勧めです!
上記で紹介した「ラクラクわかる! 3 類消防設備士集中ゼミ」の姉妹本の問題集です!
「ラクラクわかる! 3 類消防設備士集中ゼミ」だけでは不足する演習量をこの問題集で補い、合格に向けて実力の底上げにつなげましょう!
まとめ
筆記試験には「合格率と難易度」の項に書いたとおり「合格させるための措置」がありますので、きちんと対策すれば落ちることはないでしょう。
実技試験の製図は、いくつかある出題パターンにしっかり対応できるように、複数の参考書を使って練習しておく必要があります。
初期出費を惜しんで不合格になってしまっては、最終的には参考書を買い足す、何度も受験地まで行くなど、時間もお金も余分にかけてしまうことになります。
これから受験される方においては、後悔が残らないようしっかり準備をしていただき、無事合格できることを祈っています!