エアコン故障問題を受けてビルメン業界で冷凍機械責任者の需要は高まる?

冷凍機械責任者

こんにちは!ビルメン米造です。

岐阜県の「Y&M藤掛第一病院」で入院患者5人が熱中症の疑いで死亡した問題が話題になっていますね。まだ捜査中のようですが、病院側が詳しい事情を語らないそうで、しばらく沈静化しそうにありません。

問題となっている病院では、院内に設置されている業務用エアコン12台のうち11台が定期点検の対象機器で、そのうち7台で定期点検が実施されていなかったため、このような惨事を招いた可能性があると報道されています。

業務用エアコン(空調機)といえば我々ビルメンには「冷凍機械責任者」という資格が馴染み深いですよね。

今回は現役ビルメンの立場から、業務用エアコンの点検義務の概要について、さらに、この問題を受けてビルメン業界内で冷凍機械責任者の需要が今後高まるのか?などの考えを書いてみようと思います。

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冷媒にフロンを用いる業務用空調機、冷凍・冷蔵機の点検義務

上述したように、今回の問題は、11台の業務用エアコンが定期点検の対象機器であるにもかかわらず、そのうち7台が未点検であったことです。

報道によればこれら11台のエアコンは、冷媒としてフロン類が充填されている機器(第一種特定製品)に該当するようで、2015年にフロン回収破壊法から改名・施行されたフロン排出抑制法(*1)により点検が義務付けられています。

(*1)正式名称:フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律

違反した場合は懲役や罰金などの刑罰が課せられます。

身の回りの様々な空調設備、冷凍冷蔵設備がこの点検義務の対象で、例を挙げると次のような設備です。

<業務用空調機器>パッケージエアコン、チラー、ガスヒートポンプエアコン、ターボ冷凍機、スポットエアコン、除湿機など

<業務用冷凍・冷蔵機器>コンデンシングユニット、ヒートポンプ給湯機、冷凍・冷蔵ショーケース、冷凍・冷蔵庫、冷凍・冷蔵装置など

点検のための資格は?冷凍機械責任者で点検できる?

以下の表の通り、設備の規模によって点検の頻度と内容が異なります。

今回問題となっている病院の設備では、「3年に1回の点検が必要だった」と報道されていることから、出力7.5kW以上50kW未満のエアコンが設置されていることが分かります。

この3年に1回の定期点検は「十分な知見を有する者」が行うこととされていますが、具体的にどういう人のことを言うのでしょうか。

「十分な知見を有する者」ってどんな人?

フロン排出抑制法による定期点検を行える「十分な知見を有する者」とは一体どういう人のことを言うのでしょうか。

環境省が公表している資料「十分な知見を有する者について」によると、次の3つのいずれかに該当する人のことを言います。

A. 冷媒フロン類取扱技術者の資格取得者

冷媒フロン類取扱技術者は、第一種と第二種が存在し、第一種は、一般社団法人日本冷凍空調設備工業連合会が、第二種は、一般財団法人日本冷媒・環境保全機構が認定する民間の資格で、フロン排出抑制法の施行に合わせ、設置された資格です。

第一種はすべての規模の設備を扱えますが、第二種は以下に示す規模の設備しか扱えません

空調は圧縮機電動機又は動力源エンジンの定格出力25kw以下の機器。冷凍冷蔵は圧縮機電動機又は動力源エンジンの定格出力15kw以下の機器。

B. 一定の資格等を有し、かつ、点検に必要となる知識等の習得を伴う講習を受講した者

一定の資格等としては、例えば、以下の6資格が挙げられます。

  •  冷凍空調技士(日本冷凍空調学会)
  •  高圧ガス製造保安責任者:冷凍機械(高圧ガス保安協会)
  •  上記保安責任者(冷凍機械以外)であって、第一種特定製品の製造又は管理に関
    する業務に5年以上従事した者
  • 冷凍空気調和機器施工技能士
  • 高圧ガス保安協会冷凍空調施設工事事業所の保安管理者
  • 自動車電気装置整備士

これらのうちいずれかの資格を保有しており、環境省により適正性が確認された講習を受講して初めてフロン排出抑制法による定期点検を行うことができるようになります。

適正性が確認された講習」の一覧は以下のページから確認できます。

環境省 | フロン排出抑制法に係る知識等の習得を伴う講習

ビルメンの多くが取得している冷凍機械責任者もここに含まれますが、冷凍機械責任者を取得しているだけではフロン排出抑制法による定期点検は行えないということですね。

C.十分な実務経験を有し、かつ、点検に必要となる知識等の習得を伴う講習を受講した者

十分な実務経験とは、例えば、日常の業務において、日常的に冷凍空調機器の整備や点検に 3 年以上携わってきた技術者であって、これまで高圧ガス保安法やフロン回収・破壊法を順守し、違反したことがない技術者を指します。

また、定期点検に必要となる知識等の習得を伴う講習とは、上記の「適正性が確認された講習」の一覧にある講習のことをいいます。

ビルメン業界で冷凍機械責任者の需要は高まるのか?

個人的には、今回の岐阜県の病院の問題によりフロン排出抑制法による定期点検の頻度や点検内容が見直されたとしても、ビルメン業界で冷凍機械責任者の需要は高まらないと考えます。

冷凍機械責任者を持っていればフロン排出抑制法による定期点検を行えるようになるというのならば話は別ですが、そういう方向には進まないのではないかと推測しています。

今回の問題を受けて、今後もし設備管理業界内でフロン排出抑制法による定期点検を行える「十分な知見を有する者」の人員を増やそうとする動きがあるならば、冷凍機械責任者の受験者数が増える可能性はあります。

第三種や第二種冷凍機械責任者の資格は簡単に取れますから、この資格を取得して講習を受講すれば上記のBの要件に該当し、「十分な知見を有する者」としてフロン排出抑制法による定期点検が行えるようになります。

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しかし、手っ取り早く取れるのが冷凍機械責任者であるから受験者数が増えるだけで、これでは冷凍機械責任者の需要が高まったとは言えませんよね。

おわりに

結局のところ、冷凍機械責任者の資格単体で扱える設備や行える点検などの範囲が拡大されない限り需要が高まることはないので、冷凍機械責任者の資格が不要な現場が増え続けている現状を見ると、今後も下火傾向なのは変わらないのではないでしょうか。

でもビルメン業界で働くなら空調機に関する最低限の知識は持っておいて欲しいし、なんとも言えない位置で宙ぶらりんになっている資格のように思えます。

とりあえずビルメン4点セットを取るぞ!と取得を目指す人が多いですが、個人的には冷凍機械責任者より消防設備士を優先して取得したほうがビルメン業界では役に立つと思います。

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