【図解】2019 年度 電気工事士技能試験 複線図の書き方公開中!

情報処理安全確保支援士の難易度・合格率と他の試験区分との比較

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情報処理安全確保支援士
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ビルメン米造
ビルメン米造

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IT 関係では初の士業資格として注目されている情報処理安全確保支援士試験 (以下、支援士試験と書きます) ですが、その難易度はどれほどのものでしょうか。

この記事では、支援士試験の難易度と合格率のほか、IPA が実施するネットワークスペシャリスト (NE) や応用情報技術者 (AP) などの試験区分との難易度の比較について、支援士試験に独学で合格した著者が解説します!

支援士試験の合格率の推移

近年の合格率の推移は以下の図の通りです。

なお、情報処理安全確保支援士の制度が始まる平成 29 年度春期より古い試験については、情報セキュリティスペシャリスト試験の合格率を掲載しています。

情報処理安全確保支援士試験の合格率の推移のデータ
情報処理安全確保支援士試験 合格率の推移
 情報処理安全確保支援士試験 合格率の推移のグラフ
情報処理安全確保支援士試験 合格率の推移のグラフ (クリックで拡大)

情報セキュリティスペシャリスト試験の頃は 15 % 前後で推移していた合格率ですが、支援士試験が始まってからは右肩上がりで 20 % に達しようとしています。

これが何を意味するのかこのあと考察していきます。

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支援士試験の難易度を複数の視点から紹介

ここからは、IT 関係の実務未経験の僕が独学で支援士試験に合格した経験を基に、僕が感じた支援士試験の難易度を複数の視点から紹介していきたいと思います。

試験出願時点での基礎知識は以下の通りです。

出願時点での基礎知識等
  • IT 関連の実務経験は一切無し。IT 関連の保有資格も無し。
  • 以前からネットワークやセキュリティ、プログラミングなど ICT には興味があったので趣味で勉強していた。この段階で得ていた知識が非常に役立った。

情報セキュリティスペシャリストから支援士になり難易度が下がった?

支援士試験の難易度は高度情報処理技術者試験 (ITスキル標準 レベル 4) と同等とされていますが、支援士試験の前身である情報セキュリティスペシャリスト試験やその他のスペシャリスト系試験 (ネットワーク、データベース、エンベデッドシステム) と比較すると、出題範囲は若干広いものの、求められる技術レベルは初歩的なものであると感じました。

出題範囲としては、情報セキュリティ技術を語る上で不可欠な暗号技術、認証技術、攻撃手法とその対策などに加えて、ネットワークの基礎知識やプログラミングの基礎知識、データベースのセキュリティ対策、情報セキュリティマネジメント (ISMS、ISO 27001) など幅広いジャンルの知識が求められます。

しかし、それらの技術・知識を深く掘り下げるような問題は出題されないため、要点のみを抑えた浅い知識で試験に臨んでも、文章の読解力だけで合格することができます

技術的なことを知らなくても、文脈から判断して答えを導き出せるのです。

また、さきほどご紹介した支援士試験と情報セキュリティスペシャリスト試験の合格率の推移のグラフを見ても分かる通り、支援士試験の制度が始まってからの合格率は右肩上がりです。

日本政府は「サイバーセキュリティ人材育成総合強化方針」において「2020 年までに 3 万人超の有資格者の確保を目指す」としているため、試験の難易度と採点基準を調整することで合格者数を増やそうとしている段階なのかもしれません。

最新のサイバーセキュリティに関する知識・技能を備えた、高度かつ実践的な人材に関する国家資格である「情報処理安全確保支援士」の創設に係る取組を進め、平成 32 年までに3万人超の有資格者の確保を目指す。

サイバーセキュリティ人材育成総合強化方針 | 内閣サイバーセキュリティセンター

もちろん、最近の試験の合格率が偶然高かっただけで、次回の試験では大きく合格率が下がる可能性もあります。

支援士試験に合格するための “広く浅い技術や知識 ” を学べるお勧めの参考書も以下の記事でご紹介してますのでよろしければ参考にしてください。

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合格に必要な勉強期間

ICT 全般や情報セキュリティに関する基礎知識をどれだけ持っているかによって、支援士試験に合格するために必要な勉強期間は大きく変わってきます。

IT 業界、とくに情報セキュリティ界隈で働いている方なら試験対策をせずに合格できる人も居るでしょう。その他の IT 業界の方なら数週間 ~ 1 , 2 ヶ月程度の勉強期間が必要でしょう。

情報セキュリティなどはちんぷんかんぷんで、プログラミングもしたことがない、暗号技術や攻撃手法などの用語すら知らないというレベルからだと数ヶ月から 1 年近くの勉強期間が必要でしょう。

支援士試験の受験者の中には趣味で ICT 関係を勉強している人も大勢居ると予想しますが、このように全くの初心者ではない人は数週間 ~ 半年の勉強期間が必要になるのではないでしょうか。

ちなみに僕は約 1 ヶ月ほど試験対策を行いました。

僕が実施した勉強の流れや勉強のコツなどは以下の記事でご紹介してますのでよろしければ参考にしてください。

また、支援士試験に合格するためには、 ICT・情報セキュリティの技術・知識に加えて文章の読解力と解答を 15 ~ 50 文字程度に簡潔にまとめる作文力が必要です。

高度な文章力が必要なわけではなく並程度で良いのですが、午後Ⅱでは A4 用紙 10 ページ分くらいの問題文を読んで解答しなければならないので、文章読解・作成が苦手な方はさらに勉強期間が必要になるでしょう。

他の試験区分との難易度比較

ネットワークスペシャリスト試験との難易度比較

支援士試験の難易度を同じ高度情報処理技術者試験に分類されるネットワークスペシャリスト試験と比較するとどちらが難しいのでしょうか。

結論から言うと、ネットワークスペシャリスト試験の方が難しいと考えます。

その理由は大きく 2 つあります。


1 つ目の理由は、ネットワークスペシャリスト試験は支援士試験とは違い、文章力だけでは対応できない問題が多いからです。

支援士試験が “情報セキュリティ技術をメインとした ICT に関する広く浅い知識” と “並程度の文章読解力” で合格できることは本記事内に記載した通りです。

一方、ネットワークスペシャリスト試験は、試験範囲はネットワーク技術に限定されるものの、知識レベルはそれなりに高いものが要求されます。

いくら優れた文章読解力を持っていてもネットワークに関する知識がなければ太刀打ちできない問題が多い試験です。

そのため、支援士試験と比べると試験対策に必要な時間も長くなるでしょう。


2 つ目の理由は、試験問題の出題方法の違いにあります。

支援士試験の設問は下図 (a) のように「解答群の中から選び、記号で答えよ」や「問題文の語句を用いて答えよ」という問題が多いのに対して、

支援士試験の設問例の画像
(a) 支援士試験の設問例

ネットワークスペシャリスト試験の設問は下図 (b) のように「適切な字句を答えよ」という問題が多いのです。

ネットワークスペシャリスト試験の設問例の画像
(b) ネットワークスペシャリスト試験の設問例

出題方式だけを見ても、支援士試験よりネットワークスペシャリスト試験の方が難易度が高いことが分かります。

僕が支援士試験の対策として過去問を解き始めた頃にこんなツイートをしていました。

応用情報技術者試験との難易度比較

続いて、 ITスキル標準 レベル 3である応用情報技術者試験と難易度を比較してみます。

情報処理安全確保支援士試験ITスキル標準 レベル 4 なので、支援士試験のほうが高度な試験という位置づけですが、実際の試験の難易度はどれくらい違うのでしょうか。

結論としては、支援士試験と応用情報技術者試験の難易度は同じくらいです。


まず午前問題を比較してみます。

支援士試験の「午前Ⅰ」の問題は応用情報技術者試験の「午前」問題の使い回しですので、難易度は全く同じです。

支援士試験の「午前Ⅱ」の科目には、情報セキュリティに関する問題が出題されます。

情報セキュリティに関して少し踏み込んだ内容を勉強しなければいけない分、午前問題については支援士試験のほうが難易度が高いと言えるでしょう。

ただし、応用情報技術者試験の午前問題 (=支援士試験の午前Ⅰ問題) も支援士試験の午前Ⅱ問題も、ほぼ過去問の使い回しなので試験として機能しておらず、対策は非常に容易です。


続いて、午後問題を比較します。

応用情報技術者試験の午後問題は問 1 の必須問題に加えて、それぞれジャンルの違う問 2 ~ 11 までの 10 問中 4 問を選択して答える形式です。

応用情報技術者試験の午後問題の問題一覧の画像
応用情報技術者試験の午後問題のジャンル一覧

支援士試験には午後Ⅰと午後Ⅱがあり、全ての問題が情報セキュリティ絡みの問題ですが、ネットワークやプログラミングに関する知識も若干必要です。

応用情報技術者試験の問 1 は情報セキュリティに関する問題ですので、この問題と支援士試験の午後問題を比較してみました。

結論としては、情報セキュリティに関する問題については支援士試験の方が出題される技術レベルの面でも、出題形式の面でも難易度が高いと感じました。

まず技術レベルですが、応用情報技術者試験の問題は情報セキュリティに関する非常に初歩的な問題ばかりで、支援士試験の午後問題と比べると非常に簡単です。

たとえば、下図の問題。設問と関係する部分のみを抜き出したものです。

応用情報技術者試験の情報セキュリティに関する問題例の画像
応用情報技術者試験の情報セキュリティに関する問題例

(1)「d」は「エ  SPF」、「e」は「カ  送信元」、(3)「h」は「SQLインジェクション」ですが、
さすがに支援士試験の午後問題にここまで初歩的な問題は出題されません。

応用情報技術者試験の情報セキュリティに関する問題のレベルは、支援士試験の午前Ⅱの問題のレベルに近いと考えると良いでしょう。

実際に、支援士試験の午前Ⅱに次の図のような SPF に関する問題が出題されています。

支援士試験の午前Ⅱの問題例の画像
支援士試験の午前Ⅱの問題例

次に出題形式の面での応用情報技術者試験と支援士試験の難易度の違いです。

支援士試験なら「◯◯文字で述べよ」と記述式の解答を書かせるような設問が、応用情報技術者試験では下図のように「解答群の中から選び、記号で答えよ」と選択式になっていることが多いです。

応用情報技術者試験の情報セキュリティに関する問題例の画像
応用情報技術者試験の情報セキュリティに関する問題例

さきほどネットワークスペシャリスト試験と支援士試験の難易度の違いとして挙げた例と似ていますね。

以上のことから、情報セキュリティに関する問題は明らかに支援士試験の方が難易度が高いと結論づけましたが、これだけでは支援士試験と応用情報技術者試験の難易度の比較にはなりません

前述した通り、応用情報技術者試験の午後問題は情報セキュリティ以外にも 4 つの分野の問題を選択して解答しなければならないのです。

他の分野の問題もスペシャリスト試験の午前Ⅱのレベルの知識が問われるのだとすると、それなりの勉強量が必要になります。

出題対象の分野が違うだけで、合格レベルに達するまでに必要な勉強量は支援士試験と応用情報技術者試験では大差ないのではないでしょうか。

支援士試験の IT スキル標準レベルは 3.5 くらい?

インターネット上では、支援士試験を レベル 3.5 と揶揄する書き込みなども見られます。

確かに、レベル 4 のネットワークスペシャリスト試験よりは簡単で、レベル 3 の応用情報技術者試験とそれほど難易度の差が無いとすると、レベル 3.5 というのは的を射た表現だと思います。

本記事内にも書いた通り、支援士試験の合格率は右肩上がりの状態です。

このまま合格率が上昇し続け常時 20 % を超えるようなことになれば、レベル 3.5 どころか レベル 3 扱いをされる可能性もあります。

ちなみに、応用情報技術者試験の最近 13 回分の試験の平均合格率は 20.9 % です。極端に合格率が高い回や低い回もなく、18 ~ 23 % の間を推移しています。

もちろん母集団のレベルの差などもありますので、合格率だけで難易度を測ることはできません。

しかしながら、受験者に「支援士試験は他の高度試験 (レベル 4 試験) より明らかに簡単だ」という印象を持たれていることは確かです。

Wikipedia の支援士試験の項目には次のような文言があります。

情報処理安全確保支援士は政府機関、情報機関、研究機関等と連携し、組織的サイバー攻撃から日本の重要産業を守る重要インフラ防護の役割が期待されている。

(略)

試験の水準は高く、情報セキュリティに関する資格試験では国内最難関にあたり、実務経験者であっても合格するのは難しい試験として広く認知されている。

情報処理安全確保支援士 – Wikipedia

合格したこちらが恥ずかしくなるような文章です…。

政府が想定している支援士試験の合格者像と実際の合格者のレベルに大きな乖離が生じている状況をどうにか是正しなければ、ただでさえメリットのない制度だと認知されつつある「支援士制度 (登録セキスペ制度)」が本当に無用の長物と化すのではないでしょうか。

まだ試験制度が始まって 2 年程度なので黙って見守らなければいけない時期なのかもしれませんが、IPA には試験の難易度・品質・評価を一定に保つように運営してもらいたいと思います。

国内最難関の情報セキュリティ資格 (苦笑) がスキルレベル 3 や 3.5 じゃ示しがつかないでしょう。

ただ、難易度を高く見せたければ記述式の設問の採点を厳しくするだけで操作できるというのがなんとも言えないところですね…。

以上、情報処理安全確保支援士試験の難易度についてご紹介しました!